プリズンホテル1 夏
浅田次郎 著
全四巻 集英社文庫 2001年6月発行
1 夏 306頁・552円
背表紙より
1 夏
極道小説で売れっ子になった作家・木戸孝之介は驚いた。たった一人の身内で、ヤクザの大親分でもある仲蔵が温泉リゾートホテルのオーナーになったというのだ。招待されたそのホテルはなんと任侠団体専用。人はそれを「プリズンホテル」と呼ぶ−−−。熱血ホテルマン、天才シェフ、心中志願の一家・・・不思議な宿につどう奇妙な人々がくりひろげる、笑いと涙のスペシャル・ツアーへようこそ。
2 秋
花沢支配人は青ざめた。何の因果か、今宵、われらが「プリズンホテル」へ投宿するのは、おなじみ任侠大曽根一家ご一行様と警視庁青山警察署の酒グセ最悪の慰安旅行団ご一行様。そして、いわくありげな旅回りの元アイドル歌手とその愛人。これは何かが起きてもおかしくない・・・。仲蔵親分の秘めた恋物語も明かされる一泊二日の大騒動。愛憎ぶつかる温泉宿の夜は笑えて、泣けて、眠れない。
3 冬
阿部看護婦長、またの名を<血まみれのマリア>は心に決めた。温泉に行こう。雪に埋もれた山奥の一軒宿がいい・・・。大都会の野戦病院=救命救急センターをあとに、彼女が目指したのは−−なんと我らが「プリズンホテル」。真冬の温泉宿につどうのは、いずれも事情(ワケ)ありのお客人。天才登山家、患者を安楽死させた医師、リストラ寸前の編集者。命への慈しみに満ちた、癒しの宿に今夜も雪が降りつもる。
4 春
義母の富江は心の底から喜んだ。孝之介が文壇最高の権威「日本文芸大賞」の候補になったというのだ。これでもう思い残すことはない・・・。忽然と姿を消した富江。その行方を気に病みながらも、孝之介たちは選考結果を待つべく「プリズンホテル」へ。果たして結果はいかに?懲役五十二年の老博徒や演劇母娘など、珍客揃いの温泉宿で、またしても巻き起こる大騒動。 笑って泣ける感動の大団円。
読者のひとこと
二泊三日、もしくは一泊二日で宿泊客の人生観を180度変えてしまう任侠団体専門の奥湯元あじさいホテル、通称プリズン(監獄)ホテルがこの物語の舞台。登場人物のドタバタぶりに笑い、彼(彼女)らの苦悩と再生に涙し、なおかつ読者が明日への活力をもらえるという痛快娯楽小説です。ここは肩肘張らずに作者の意図に乗ってみましょう。どの季節も風光明媚な景観ですが、個人的には寒さ厳しい冬のプリズンホテルがおすすめです。
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