
私の専門は、1.人間活動の地域的まとまりや、2.環境利用形態を、3.地域構造の視点から考えることです。
ひらたく言えば、「まとまり」、「つながり」、「よりどころ」を地域環境の広がりの中で 捉えるということです。そして実は、これは 4.人文地理学と呼ばれる分野の見方でもあります。 本演習を選ばれる人は、何よりも1、2にかかわる地域現象や地域問題に関心を持っていること、 あるいはこれからそういう視点を身につけたいと志すことが必要条件です。
集落や農産物産地や都市地域は、それ自体で「まとまり」、「つながり」を体現しているため 古くから研究対象とされてきましたが、さらに山や海や川に周辺環境がリンクすることで より強い「まとまり」を見出し、「つながり」を作って生み出した伝統生業が営まれてきました。 近代化で失われてきた地域の伝統生業は、今では地域文化の見直しの中で、 地域づくり=まとまるための「よりどころ」とされ、体験学習やエコツーリズムに利用される例も増えています。
人文地理学は、地域現象や地域性の客観的な把握にこだわります。 どこに施設が立地しているか、その現象がその地域だけのものなのか、あるいはもっと広い現象の中の一部なのか。 こうしたことを客観的に表す手段が「分布図化」です。 現象をグラフィックに描いて示すこと、これがこの分野の最大の特色ともいえましょう。 加えて私自身、高校時代は美術部で、その道への進学も考えたこともあり、グラフィックへのこだわりが強いです。 私が求めたい地域研究は、サイエンスにアート感覚をのせた総合芸術だと考えています。